2011/03/09

『記憶』ってそんなモン?

 ~数通の「手紙・メール」を読みながら~
 偶然は偶然なのか「良くある」ことだ、と妙な気分で受け取った。
 それは昨日のこと。今年の3月で退職するという校長から2通、来年の退職者である校長から2通の手紙(メール)が届いた。そして、不思議なことに小学校と中学校とそれぞれ2通ずつが配信された。何気なく眼を通したのも偶然で、3月退職組と来年の退職組に分かれてしまった。
 退職まであと一ヶ月を切った校長先生方は、健康なままで無事に退職できる大願成就への謝意が面々と綴られていた。表現の違いはあっても中身は殆ど変わらない。大学卒業から「教師道」一直線にひたすら走り続けた半生が書かれ、小生との出会いへの感謝の言葉で締めくくられていた。過大評価には赤面する思いである。しかし、そんな所まで記憶されていたのかと『記憶の威力』には脱帽した。当然ながら小生も(今よりずっと)若かった。直情型の性格は今も完治はしていないが(笑)、当時の場所も叱咤した内容も克明に記憶されていることに背筋が寒くなってしまうほどだった。2通とも、ほぼ同じであり、学級経営で行き詰まった場面での教室内での小生の言動を具に書かれては度肝を抜かれてしまう。肝心なことは発信者である小生の責任であるが、全く・・・ホントに殆ど記憶に御座いません(笑)。無責任で、その場凌ぎの放言が立派な校長先生を育成した??この現実をどうしたら良いのだろうか。ともあれ、長期に渡って重責に苛まれつつ大役を全うした後輩校長に労いの言葉を贈ることにしよう。
 来年に退職を控えている二人の校長さん達は、最終年度の「夢とロマンのプラン作り」の素案を添付されているではないか。そして、こぞって「集大成」という表現になっている。爽やかな「力み」を感じながらも嬉しくなった。最終ラウンドに立ち向かう勇者を感じる。体調を崩して苦境の中で辞めることも出来ずに最終年度を迎えた同僚や仲間も多く知っているので、4月からの執務に意欲を漲らせている文面を読んでいくと晴れやかな気分にもなる。過去の自らの足跡を分析している双方に共通性もある。先を見て、現実の足下をじっくり観察している人間には「怖いモノ無し」を感じる。新年度からのプランへのアドバイスも要求されているようだ。無責任な性格の小生が、うっかりにでも「そんなに頑張らんでも良いよ」なんて返信するモノなら石の礫が飛んできそうだ(笑)。しかし、この無責任放言も、まんざら捨てたモンじゃありませんよ。最後のお務めだからこそ力んでしまうと、やり残したり積み残したりした「残務」がそっくり後継者にのし掛かることにもなるからだ。そんな実例も多く知っている。
 4通の「手紙・メール」を一度に受けた小生の老脳はパニック。
 当然ではあるが、好い加減な応えを送信するつもりなど御座いません!読者の皆さんのご心配には及びません。「管理職受難の世紀」(誰が言ったかは知り得ない)の中で孤軍奮闘したこの後輩諸兄には頭が下がります。まだ、あと1年残している校長先生方も、心身の健康管理には十分にお気をつけいただいて有終の美を飾って欲しいと願うばかりである。
 偶然の偶然たる所以などわからない。
 4名の後輩諸兄が共通して「小生との偶然の出会い」を劇的なほどに表現されている箇所だけは、どうもくすぐったくて仕方がない。偶然の出会いは本人達の意志に拘わらずに繋がってしまう「事件や事故のようなモノ」なので、その事後処理に双方が努力したのだと理解し合うことでお許し願いたい。
 しかし、小生の『記憶』の外にも沢山の出会いがあったんですね。やっぱり無責任且つ能天気な人生を歩んで来たんだと改めて己に確認している朝です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

自己紹介

自分の写真
1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

フォロワー