2011/03/01

18分間の「勝負」

 ~「1つの記事」に老脳が動顛~
 冷たい雨の朝の出動は正直言って辛かった(笑)。
 自宅近くのバス停で立っている足下に落ちる雨の冷たさがその主因。電車に乗り換えて東京駅に向かう。ずっと以前は贅沢に思えていたグリーン車の利用も板に付いた(?)。仕事(講演)前の「思考回路の整理整頓」には貴重な時間でもある。60分間の茅ヶ崎~東京の時空は、今回も生命線となった。それは、自宅で眼にした新聞記事(=登載した写真版新聞記事は「埼玉新聞」)である。「埼玉の市民ランナー」世界選手権出場に内定、という語句が妙に脳裏が擽られたからである。
 乗換駅の上野から降車駅の浦和までは僅か18分間。
 上野駅構内で埼玉版の新聞を探したが手に入らない。某スポーツ新聞のトップ記事に、老脳を刺激し続けた活字がそっくりそのままに印字されているではないか。購入して出発前の車中で活字を追うが、物足りない。やっぱり地方紙が欲しい。しかし、浦和駅まで行ってしまってから購入したのでは講演の事前資料にはならない。しかし、そんなことは、この場に及んで言い訳にしかならない。僅かな時間でスポーツ新聞の活字を追いながら、思考にに耽る。なぜ?
 主催者から届いた講演の主題は、~「組織を生かす学校経営」を追究して~である。
 学校経営の経験者としても「組織を生かす運営(経営)」というフレーズには抵抗感はなかった。つまり、『組織』で育てると言うのが人材育成の王道であると学んで来たからである。かく言う小生も組織の中で育てていただいたと感謝している張本人でもあるからだ。
 ところが「市民ランナー」という人材は、組織で育成されていないことを誇示する表現である。そこで、「埼玉」で請け負った講演のキーワード(=『組織で育む』)となると、まさに対極にある育成手法ではないか。しかも、それが前日の東京マラソン参加者の「埼玉」の青年ランナーの口から飛び出したことが、今日のメディアの主人公なっているではないか。運命すら感じてしまった。
 当然ながらどんな手法にも長短はあるものだ。
 白黒を決着する問題ではない。しかし、長い間の内に凝り固まった考え方を覆すことは厳しい。しかし、インタビューに答えている青年ランナーの一つ一つの言葉を噛み締めると刺激が強く脳内の血液が逆流するように感じるほどであった。
 そういう観点からも、講演開始直前の「18分間の宇都宮線車中」は、まさに人生の勝負だった。
 ここまで力んでしまうと講演は大失敗する。駅頭へのお迎えをお断りしていて良かった。そんな臆病風も雪混じりの冷たい雨に拍車を掛け、会場に向かうために乗車したタクシーの運転手さんの温かい歓迎の言葉をいただいても上の空であったことも恥ずかしながら事実だ。 
 結果的にはやっぱり大失敗。失態を誤魔化しながら帰路の車中人となる。
 帰路の18分間は長かった。それは思うように伝えきれなかった未熟な老脳への責任追及である。将来の学校経営に夢を託して修行中の聴講者には、貴重過ぎるほどの120分間ではないか。それを無駄にしてしまった後悔の念ばかりの18分間だった。半ば放心状態で上野駅~東京駅と乗り換えて帰って来た。
 今朝、着信している聴講者からのメールを読ませてもらった。
 能天気な老脳は、あれほどまで自虐的だったのが嘘のように反省など消え去っていくではないか。メールの返信はこれから書くとしても、必死に藻掻いた18分間の勝負も、「あれはあれで良かったんだ」と思うこと急変するから始末悪い(笑)。また、機会があればリベンジしたい。瞬間の落ち込みもどこへやら??そんな朝になっています。学校経営に携わるには「この位の能天気さ」が必要かも知れませんよね(笑)。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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