~予定していた仕事ができない(笑)~
わが子が夏休み中のお父さんの様子を絵に描いたことがある。
何度見ても苦笑した。それは、本を顔に被せて昼寝をしている姿であった。遊びから帰って来た子供は、たまに家に居る父親と遊びたかったようだ。その度に転寝している父親の姿が恨めしくも思えたのだろうか。言い訳をすれば、その光景の背景には「注文した本が届いた日」であることを強調したいのである。子育て時代にはネットショップ等はなかったので、近隣の書店で注文していた。帰宅すると配達された本が机上に数冊置いてある。着替えをしながら書籍名を横目で確認する。読みたい本が届かない日もある。多くは数冊の注文にしていたので1冊は「飛びつきたくなる」本も確かにある。
妻との約束も、予定していた仕事も脳裏から消える。
そんな若かりし頃の光景を昨日は再現してしまった。3冊の本をネットで注文していた。幸か不幸か(笑)、3冊とも同時に配達されたのである。①日本辺境論 ②戦略の不条理 ③教えるな!の3冊とも単行本である。いつものように(笑)、横になって読みたい順を決めて読み始めた。至福の時間である。
中でも②戦略の不条理の中身にはどっぷりと浸ってしまった。頷きながら読み続けてついに一気に読み終えた。興奮状態の老脳を考えると少々刺激が強かった?!流石に2冊目を手にした時には老眼に疲労度を感じて瞼を閉じることになった。子育て時代の光景の復元かな?
今朝は4時に起きて、残りを読み終えた。
3冊で2300円也の書籍代も二日間で使ってしまったことになる。しかし、久しぶりの刺激は心地よい。年金生活になると書籍代も控えめにしなければと思いつつも、性癖(笑)となってしまった読書病は未だに完治していないようである。(妻はとっくに「諦め病」)
ここ数日は朝の風が冷ややかで快適である。長男一家と同居してからは朝刊の定期購読は止めて母屋から届いた時点で読むことになったので早朝の時間が手持無沙汰である。整理が進んでいない書庫を眺めながら、本格的に整理に着手して「早朝・再読時間」をしてみようかと考え始めた朝である。
昨日、茅ヶ崎から訃報が届いた。師と仰ぎ(ご本人は告げることも無く)ご尊敬申し上げていた小出忠啓先生(市教委勤務時代の教育長)が他界されたとのお知らせの電話が届いた。教育長室の机上に積んであった「書籍」が突然目前に浮かんできた。「本は借りて読むものではないよ」「本は1ページ読んでも、読んだと言って良いんだよ」「人の推薦書は当てにならないからね」等々の読書論を思い出した。読書家であった。何を訊いても笑顔でご自分のお考えでお応えいただいた姿勢から多くを学ばせていただいた。お通夜と告別式が、皮肉にも広島市への出講と重なったので参列する元同僚に気持ちだけを預けることにして、落ち着かれた時分にお線香をあげさせていただこうと考えている。心よりご冥福をお祈りします。
歩禅とは、『安岡正篤 人生を拓く』(神渡良平 著 講談社+α新書)で拾った言霊です。千葉県で早朝ウォーキングを長年実践しておられる方の言葉として紹介されていました。沈思黙考の「坐禅」に呼応するものだそうです。ふと読み留まったのは我が愚脳にも大きな電撃が走ったからなのです。歩きながら自然界に身を委ね、自然界に畏敬の念を抱き、そして自然界に語りかけることのできる自分を見いだすこと。これを「歩禅」と利己的に理解しました。坐禅が苦手な私には「静かに座して己と語る」ことに替わるべく言葉として受容できる気になったのです。だから私には単なる言葉としてではなく、『言霊』(ことだま)となったのです。 平成16(2004)年10月20日 還暦に記す ~以降「散歩日記」を歩禅記として継続発信中~
自己紹介
- 角田明
- 1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。
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