~眠気を覚ます番組~
女子プロゴルファーの樋口久子さん。
前々日からの混んだスケジュールで疲れて、珍しく布団に入ったままでラジオを聴く状態の朝。こんな朝は、決して無理はしない。今朝がそんな状態であった。眠い目をこすりつつ起床しなければならなかった現役労働者時代とはこんなところが大きな違い。
「改革をすることに躊躇は禁物。しかし、実績と実力が無いと改革は出来ない」と言い切る口調を、微睡む老脳は、「偉そうに言いやがって・・・」と濃霧の中で聞き取っているような言葉でしかなかった。その後、改革の申し子としての若い女子プロゴルファーが誕生したことの説明だった。従来のプロテストを回避してプロ選手を創ったことの経緯を聞き取った瞬間、老体に「起床ラッパ」(=決して実体験があるわけではない)が鳴り響いた。眠ってなんかおれん!!とばかりに布団を蹴とばした。
樋口女史の言葉は、布団を片づける疲労体に追い打ちを掛けた。
独断と偏見が新しい世界を産む。彼女の経営理念に唸ってしまった。プロ選手を多く産出することによってファン層も厚くなる。従来のプロテスト方式に固執すれば従来と変わらない。ファンが多くなればスポンサーも見逃さない。TV画面に魅力ある「若いプロゴルファー」が映し出されれば視聴率も確保できる。ゴルフ場のギャラリーも増加する。理念を具現化するためにも、女子プロゴルフ協会の会長としての英断を自らに迫ったのだと対談は続いた。現状までの苦労話は一つも無かった。
プロテストを受けずにプロに成れる。未踏の「理念の実現」に挑んだ彼女の識見に驚きながら妙に納得している自分に気が付いた。宮里藍・女子プロゴルファー誕生の秘話が決め手であった。この選手を皮切りに多くの若い女子選手がプロとして活躍し始めたことはゴルフを知らない小生でも「名前と顔」が一致するほどまでになっている。ゴルフ関係紙だけに拘らず、週刊誌や月刊誌、あらゆるマスコミを虜にするような取り組み姿勢を淡々と語る口調には説得力があった。
トップリーダーのあり方を考えさせられた。
つい先日届いた月刊誌の誌上対談で五木寛之氏の言葉と重複した。80歳の齢を超えた氏が、「ただ長く生きるだけでは意味が無い」と、自覚の養生論は、まさにトップリーダーとしての自己研鑽の必要性と自ら選ぶ生き甲斐に言及している。樋口女史のリーダー論も同質であると感じるに長時間は要しなかった。朝の僅か数十分間の思考である。目覚めを促してくれたラジオ番組に感謝である。
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