2013/02/12

睦月から如月の『講演旅行記』≪連載①≫

旅日記 1月29日~31日
 
睦月の暮れから公私混同の旅が始まった。

 事の発端は、平成19(2007)年に逝った義父の遺産の処理に目途が立ったことにある。熊本県八代市(国道3号線沿い)にある自宅と畑地に買主が出現したことでその公的な手続きのために妻の帰省時期を考えていた。

 正月早々では先方にもご迷惑なので暮れにすることになった。先方とも折り合いがついて出発の準備に取り掛かった。その頃から土浦の自宅には異変が起き始める。健康自慢の小2の孫が40度の発熱でインフルエンザと判明した。俄かに母屋は殺気立つ。両親である長男夫婦は障碍者施設の職員である。日常からインフルエンザの時期になると「我が家からの発症」だけには気を付けていたからである。施設の入所者への配慮の様子は同居して直ぐに感じ取っていたことだった。

 しかし、こればかりは親の思うようにはいかない。感染力は確かだった。次々と家庭内感染である。保育園児~母親~小5が発熱と病院への搬送が続く。止めは老妻であった。九州への切符を購入する日に38度9分まで熱が上がる。高齢者の部類に入ったと苦笑していた老妻もインフルエンザには叶わない。

 30日に講演のために広島入りを予定した夫のスケジュールに合わせて妻も九州へ向かう予定を作っていた。夫の出番が早まった。ピンチヒッターとして29日には九州へ到着することに日程を組み直して出かけた。それから広島に戻って公務を果たすことになった。代理人での手続きが可能であるとの司法書士の指示があったので「公的手続」ができた。

 インフルエンザの保菌者(?)であるかも知れないと心配な老体は、旅先での発症を案じつつの出立だった。

 31日は広島市立飯室小学校の訪問である。単学級6学年の小規模の小学校であった。午前中に予定されている「保護者対象の講演会」に登壇した(状況は以下の「校長先生通信」を参照)。午後のスケジュールは他校と同様に授業研究会での指導助言であったが、給食前の時間に1年生の教室に案内された。「お祖父ちゃんはどっから来たの?」の声に歓迎され、「えいご」の授業をやってしまった(笑)。

 翌日届いた教頭先生からのメールで、帰宅後の1年生の家庭での様子を知って心がほのぼのとした。インフルエンザには「勝った!」と思える瞬間だった。(つづく) 

0207受信

角田 明先生

 先ほどから添付ファイルとともに送信していますが、どうもうまくいきません。(写真があるからだと思います。)本文だけを貼り付けて送信いたします。度々申し訳ございません。

【 角田(つのだ) 明(あきら) 先生 】

去る1月31日(木)の午前中に行われた保護者向け講演会に参加してくださった保護者の皆様、お忙しい中お越しくださり、ありがとうございました。 保護者の方、地域の方を合わせて17名の参加がありました。

 講演会のテーマは「子育ては生きがい」でしたが、角田先生のご家族の話から、今ニュースで話題になっている体罰の問題、教育者の心得や子育てまで、幅広いお話を聞くことができました。

 その中でもっとも印象に残ったのは、「命のつながり」というお話でした。角田先生ご自身も、義理のお父さんの介護のために校長の職を1年早く退かれましたが、ご長男もそのために退職をされた話は、聞いていて涙が出てきました。

 今の世の中は便利になりすぎて、「死」が身近に感じられないことにより、日本は病んでしまったと言われました。その1つとして、「恋ちゃん はじめての看取り」という絵本を紹介され、「家でおじいちゃんやおばあちゃんを看取ることにより、孫である子どもは『命』に向き合い、自分の生き方を見つめ直すことができるのではないか。」と言われました。

 私も、今のテレビの中では毎日たくさんの人が死んでいる(架空のことも含め)ことや、テレビゲームで次々人を殺してしまうような遊びもあること、それが「リセットボタン」1つで、簡単にやり直せること、そして本当に大切な人の「死」が、遠ざかってしまっているということにより、現代人は、大事なものを失っているような気がしてなりません。

 また、角田先生は、「子育ては、失敗の連続だ」と話されました。いくら頑張っても思い通りにはならないけれど、一生懸命向き合うことが大切だということを話してくださいました。だから、親が自分を責めることはないが、子どもと一緒に悩みながら一生懸命生きることで、子どもは大切なものを学んでいくということや子どもは理屈で育つのではなく、周りの大人の生き様を見て育つというお話は身に染みました。これは教員にとっても同じであるということも納得できました。

 これからの時代を憂い、今からどんな子どもに育てていかなくてはならないのかという答えについて、角田先生は、「健やかな精神と健やかな体を持つこども」だと言われました。「勉強は今できなくてもよい、いくつになっても学んでいこうとする子どもを育てていきなさい。」ということも言われました。今現在も日本や世界にはたくさんの問題がありますが、今後も必ずいろいろな問題が起きてきます。そのときに、自分考え、切り抜けていこうとする気持ちや、人と助け

合って頑張る気持ちがあれば、たいていのことは切り抜けていけることでしょう。

 子どもたちに何の困難もないようにしたいのが親の気持ちですが、多少の困難を経験し、人の痛みを感じとり、頑張ってやりぬく力をつけておくことも必要だと思います。この度の講演会でたくさんの大切なことに気づくことができました。保護者の方や地域の方とともに、感動を共有することができたことを大変嬉しく思います。今回は、午前中に設定したために残念ながら参加していただけなかった保護者の方も多かったと思います。また来年度も、このような機会を持つことができればと考えております。

飯室の子どもたちが、健やかに育っていきますように、今後とも、家庭と地域と学校が手を結んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 

以上です。   飯室小学校  安永千代美

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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