2013/02/23

歩禅の記(11)

 ~寒波の中の50分間~

 尊敬する鍼診療師の言葉が浮かんだ。

 「健康のために歩く」のだから少々の無理があっても我慢して続ける!これを信じて自らを鍛えることは愚策である。「歩きたい」「歩きたくなったら歩く」の自然体を執拗に提唱される。独りで歩くことが「楽しい」のであれば一人で歩けば良いし、複数で歩きたければ友人知人を誘えば良い。しかし、基本は「歩くことは楽しい」という理念を歪めてしまうような連れ出すような実行は身体が喜ばないことを忘れないように!

 起床時には寒さを感じた。天気予報通りだった。

夫は、この時期は確定申告のための作業に振り回されている。妻は着ぶくれ状態で歩行への関心が遠のいている。こんな夫婦が、午前9時の時報と同時に異口同音に「歩いてみたい」と発したから変である。閉めた窓の外の栗の木の枝が微動しない。陽射しは窓ガラスを通して燦々と降り注ぎ熱い程であった。

「行ってみるか!?」の夫の提唱に妻も(珍しく)早めの外出準備を始めた。歩禅の出で立ち準備は、歩数計・デジカメ・(水)ペットボトル・タオルを小さなリュックに詰め込むだけでOK!

この時期の揃いでの歩禅は珍しいが、「歩きたい」気持ちを優先することが師の教えであれば護ることに抵抗は無い。

田園地帯も予想外に温かい。北風も射すような寒さがない。寧ろ「気持ち良いね」と言葉を発し合うほどである。当地に引っ越して必需品となったのがネックウォーマーという代物である。首の冷えを防いでくれるのを実感として受け止めている。30分も歩くと「汗が出る」夫と、全く「汗をかかない」妻の身体構造を、師は「内臓機能の優劣」と断言される。

汗が出る。咳が出る。痰が出る。鼻水が出る。熱が出る。涙が出る。

こんな「迷惑症状」を師は健康管理の重要な症状だと指導され、13年間も医者や薬の恩恵を受けずに生きて来た夫婦である。医療として「常識」とされる知識の多くを師に否定されながらも医療費ゼロ(妻の歯の治療費は除外)の異常な健康状態を確実に維持しているのだから不思議である。

鍼診療師の明言は書き尽くせない。

楽しい話題は歩調を整える。50分間6000歩を古希一歩手前の夫婦が軽やかに歩いて帰宅した。裏(と言っても100メートル以上離れている)に住んでおられる80歳になられるお爺さんが、隣接する栗林に見えていた。事情を話すと更に話が弾んだ。

『年寄り同士の話し合い』風景に見えるんだろうなぁ~、と苦笑する。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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