生まれ育った環境は老いても顕在しているようだ。
読者諸兄なら当方が「大相撲ファン」であることはご存知であろう。また、一方では教員時代に業務上(?)の関わりで未だにつき合いが続くプロ野球選手がいるので「プロ野球・通」であると誤解しておられる諸兄もあるようだ。
年間6場所(=1つの場所は15日間の開業)もあるので集客も大変だろう。故郷の九州での本場所が終わると年の瀬になることは生活文化の一つになっていた。巡業にやって来るお相撲さん達を見るために「先生の引率」で出かけたこともあった。今でも記憶しているのだから「育ち」は怖いのである。テレビ放送が始まってからは長生き人生の「伴」として観戦しているおじいちゃん達の生活も定番だった。栃錦と若乃花という両横綱の顔を名前は決して忘れることはない。観戦が終わると晩酌に移る光景は生活様式として定着していた。
あれから60年近く年が流れた。日本大相撲協会には大小の問題が山積したらしくマスコミも食い物にした歴史的な騒動もあった。その都度落胆するファンが「相撲離れ」の症状を呈して、『満員御礼』という言葉離れも定着して常識となった。国技スポーツ論争も廃れる程に「外国籍」の力士が増加したのも歴史上の事実である。
今場所は大きな異変が起きている。入門(=相撲取りになって)ホンの数場所ではちょんまげも結えない力士(=四股名・遠藤)が、外国人力士を圧倒する強さの快進撃である。大相撲は日曜日に始まって日曜日に終わる15日制であるのは集客のための戦略なのだろうが、主役が不在では集客などあり得ない。平日に『満員御礼』などの垂れ幕が館内に下がることなど稀有である。しかし、たった一人の若いざんばら髪の力士が国技館を満員にしていると言っても過言では無いかも知れない。この現象は『若貴時代』(=若乃花・貴乃花=兄弟関取)以来だそうだ。明らかな世代交代である。
一昨日の夜は、どうしても気になるプロ野球の試合があって妻と一緒に10時過ぎまで起きてTV観戦をしてしまった。東北楽天イーグルスのリーグ制覇を見届けるため??だった。贔屓のチームでもない。熱狂的なファンでもない。最後の試合(=リーグ優勝決定には田中投手が登板するという情報)をNHK・BS放送で中継しているのでスイッチを入れたのが運の付き!
9時には就寝する生活者が瞼を閉じる兆候もなく最後まで見たくなる。
最後の二人の打者には150キロ以上のスピードで直球勝負をする投手を見届けた。外連味の無い投球姿勢には脱帽である。技術も無ければ年間22連勝(無敗)など出来る投手にはなれない。前年度からの連勝も続ける投手をリリーフ投手として登板させて異常な緊張感で負けてしまったら、監督への非難も浴びるだろう。しかし星野監督は宣告したのである。これぞプロ魂である。集客力がここにも存在している。翌日の朝刊で田中投手の手記を読んで涙した。日本プロ野球界でも王・長嶋時代の繁盛期から何年経っているのだろうか。プロ野球界も明らかな世代交代の時期を迎えているようだ。
こんな思考が浮かんでくるのも、わが身に世代交代を意識させる手立ての一つなのかも知れない。足元も、いつしか「冷え」を感じるような朝である。
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