一枚の葉書を手にして老妻と共に愕然としてしまいました。
喪中を知らせる葉書でした。差出人の氏名に「もしや・・・」との不吉な予感が当たってしまったのです。今年の3月に電話での交信がありました。お元気な声でいつも通りの意義ある会話をすることが出来た満足感を思い出しながら、「その頃も」闘病中であったことが判明しました。他者に決してイヤな思いをさせることがない接し方をされながらも、要所に関しては明言していただいて優しく厳しく指導をしていただいた「教頭先生」でした。その後、中学校長としてご活躍される雄姿を、こちらは市教委の立場から、誇らしい視線で見詰めたものでした。
小生は32歳で市外転勤となりました。勤務地としては隣市への転勤でしたが、住居に近い学校勤務となり張り切って教壇生活を過ごすことになりました。その中学校での出会いとなりました。教頭職について沢山のことを学びました。
拙著(『あせらない あわてない あきらめない』 教育出版)にも、尊敬する先輩としてご登場願いました。出来上がった本を「お届けすべきかどうか」と躊躇している間に書店の店頭に置かれた拙著を手にされたらしく、お叱りの電話を頂戴してしまいました。その折に、触れられた話材には受話器を置いてから声に出して泣いてしまいました。厳しい叱咤でしたが、胸は熱く涙も冷たいモノではありませんでした。その教訓は、今でも実践している程の偉大な人生訓ともなっています。
枚挙にいとまがないほど多くの訓話を頂戴した「恩師」です。
師の大好きだった「みかん」を、九州の従弟から直接に送り届けてもらいました。そのお礼の電話をいただきました。直接の会話を交わしたのが最期になってしまいました。闘病中だったことを微塵も見せない、いつもの「明るさと厳しさ」で声を聴かせいただいたのです。能天気な小生には、師の現実を受け止める事すら出来ていなかったという恥ずべき体たらくです。
差出人はご長男であると思われます。
請け負っている仕事が来月中旬には一区切りができます。その後、年内には遅まきながらの墓参に出掛けたいと思っている朝です。心より謝意を添えて、わが師のご冥福を祈るばかりです。
今日からまた、出講です。暫く休刊します。
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