2010/11/05

これから始まる「小学校英語」教育

~「テスト」は単なる指標~
 他人の加齢状況は直ぐわかる?
 今よりずっと若かった時代の講師を良く知っている。セミナーのご案内を受けて興味関心は講演者の「その後」にあった。若かりし頃の弁舌爽やかさに、研究者の風格が漂う大きな成長を目の当たりに確認できた喜びは言葉では表現できない。当代を代表する英語教育学者氏に向かって、老輩がもの申すことは不謹慎であろうが、敢えて「成長する学者」の片鱗を見た歓喜の余りの表現であることをご容赦願いたい。同時に、初々しさと熱気が失せていない語気に大きな元気も戴けた二重の喜びであることも添えておきたい。願わくば、後輩の英語科教員にじっくり聴いて貰いたかったことも重ねて触れておく。
 海外留学に必要とされる語学に関する試験(英検も含めて) が幾つかある。海外留学志望者にとっては高得点への挑戦は今でも続いていることは確かである。氏の言葉の中に「テストは単なる指標」ではあって、点数で個人の「生きた実力」は計りきれない、と言う表現があった。研究者の人間味を感じながら聴き入った。「されど、テストである」と言う研究者の追究も伝わってきた。各種のテストでの国別平均点を画面で見詰めながら日本の現状を改めて認識も出来た。問題点は何だろう?と。
 質疑応答の時間になって訊きたいことがあったので質問をした。
 質問の主旨は「小学校英語教育と小中学校の連携」である。氏も、講演の冒頭で明言した内容であったので、具体的な先進例や現状を紹介して貰いたかったからである。氏ほどの実践研究者でも先進地域や先進的研究を進めている小中学校の実名は得ることはできなかった。それほど、この問題は難題であることが証明されたような気がする。
 来年度から、小学校で「英語を学ぶ」という歴史が日本の学校教育制度で始まる。
 氏のデータでは4分の3の子供達が「小学校の英語は楽しい」と応えていると言う。中学校1年生の後半には「英語は嫌い」の生徒が、また4分の3は現存するとなると手をこまねいている場合ではあるまい。中学校英語教員は「他人事ではない」意識が無ければなるまい。「小学校で余計な事をしてきて・・」等と嘯いているようでは、生徒達に申し訳が立つまい。
 20数年前の「中学校英語教員」としては、その現状と未来を考えれば考えるほど「小中学校の教育連携」の重要性を痛感するばかりである。
 研修レポートの筈が、老輩の愚痴になってしまったかな(笑)?
 しかし、久し振りに「専門教科領域」に関する研究者の、切れ味鮮やかな「言語」を聴くことが出来たことは至福の時間であった。これも本音。ご招待いただいた関係各位に心から感謝申し上げたい。
 小生は、この講義の内容と同調できる講師の考え方を出来るだけ多くの後輩英語教員に伝えることが主催者と講師への恩返しと考えている。今日も明日も、そんな土俵が作られている。情報提供できる環境での「役目を果たすこと」を約束しておこう。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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