~「徒歩10分」の会場~
退職する前からのことですから、どれほどの「講演」をお請けしてきたのでしょうか?回数は正確には記憶していないほどです。行き先を問われれば答えに窮するどころか、溢れるほどの地名も出てくるほどに全国の各地を訪問させていただいてきました。
従って、宿泊ホテルでの送迎にも慣れています。新幹線の改札口でお迎えいただいた関係者の車で移動したり、到着駅で指定されたタクシーに乗って講演会場まで行ったことは山ほどあります。「緊張を知らない」と評されたほどに講演することを苦にしないで、昨日まで生きてきました(笑)。
昨日は、そんな気遣いや気忙しい「送迎」も無く、自宅から徒歩10分で到着できる講演会場でした。 今までの「講演人生」の中で最短距離にある会場ですからベストな講演が出来て当然?ところが、玄関先を出て数歩しか無いお家からの「聴講者」が会場にいることを見届けてしまったら、いかなる老脳でも刺激が大きすぎると思いませんか。この地に住んで30年以上が過ぎています。その間は、正真正銘の「子育て」期間でした。そんな未熟な親業を熟知している方の姿が講演会場で目に入れば動顛するでしょう?冷静に子育て論を発することは尋常の沙汰では無い状態でした。
そんな動揺も、運良く(笑)、声帯異常で声が上手く出なかったことがカムフラージュになってくれました。そんな不幸も幸運にしてしまう天性は今日も生きていました。
ともあれ、そんな立地条件に恵まれている講演会場と、同時に「わが子3人」が学んだ小学校であることを併せて考えると、精神的条件は決してベストではなかったと言っても過言ではありませんでした。昨日のブログでは「講師の語り」の部分まで内部告発するような気分で自信満々に思える表現でしたが、現実的には重圧に潰されたことで「楽しいご報告」など御座いません。ゴメンなさい。
会場から沢山の感想を頂戴しました。
受け止めていただいた聴講者に感謝です。次回の講演に活かしたいを心している24時間後の夕べです。
歩禅とは、『安岡正篤 人生を拓く』(神渡良平 著 講談社+α新書)で拾った言霊です。千葉県で早朝ウォーキングを長年実践しておられる方の言葉として紹介されていました。沈思黙考の「坐禅」に呼応するものだそうです。ふと読み留まったのは我が愚脳にも大きな電撃が走ったからなのです。歩きながら自然界に身を委ね、自然界に畏敬の念を抱き、そして自然界に語りかけることのできる自分を見いだすこと。これを「歩禅」と利己的に理解しました。坐禅が苦手な私には「静かに座して己と語る」ことに替わるべく言葉として受容できる気になったのです。だから私には単なる言葉としてではなく、『言霊』(ことだま)となったのです。 平成16(2004)年10月20日 還暦に記す ~以降「散歩日記」を歩禅記として継続発信中~
自己紹介
- 角田明
- 1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。
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