2012/06/20

「台風一過」と水廻り


 ~田圃には早朝から多くの人影~
 早朝歩禅はいつもよりちょっと遅れの5時15分出発。田圃にはあちこちに人の姿が見える。
妻に「何かあったのかしら」と問いかけれられた夫は応える、「台風様がお茶飲みに立ち寄られたから後片付けのためじゃ」と(笑)。農家の三男坊にはそんな文化が伝承されている。大嵐の後は雨量も多いので田圃の土手が壊れて水田から水が流れ出したら稲の生育に支障がある。そこで、「水廻り」(=点検)は農家の重要な仕事であるらしい。幼心に残っている祖母の言葉を思い出して応えただけである。
 台風一過を台風一家と誤解したまま小学校6年生まで成長した。
 運動会の開会式で当時のPTA会長さんであった友人のお父さんが「たいふういっかの秋晴れの下・・」と挨拶された。「一家」と「秋晴れ」が繋がらないことに気が付いたのである。友人宅に遊びに行った時、聞いてみて深く学んだ。
 台風一過の朝は、農家の人の朝仕事は「田んぼの水の点検」から始まる。その光景を横目に見ながら、「良く降りましたね」「稲は大丈夫ですか」と声を掛けながら歩いて帰って来た。すれ違いざまの対話には日本に伝わる農耕文化の匂いがする。こんな小さな会話を基盤にしてコミュニケーションが成立することを軽視してはいけない。
 早朝歩禅を満喫しながら自然界の脅威を感じつつも人生の機微を熟考した。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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