~柿食えば・・・祖母を思い出す~
母子家庭で育った小生に、強烈な父性を感じさせたのが怖い祖母の存在だった。夕食前にコップ一杯の「焼酎」の呑む祖母だった。
その祖母の大好物が柿。
「焼酎と柿」は、「明。こうてこい(=買って来い)」と良くお使いに行かされた。幼心に覚えていたのが柿の種類だったことを知ったのはずっと後のこと。「ふゆがき」「じろがき」との祖母の発する言葉を真似て「間違いなく」買って帰ったものだった。
ふゆがき=富有柿 じろがき=次郎柿
殆ど孫達の口にはいることもなく祖母が美味しそうに食べていた光景はぼんやりとではあるが記憶に残っている。皮肉なことに(笑)、DNAは確かに伝わっている。「焼酎と柿」への思いがそっくり孫の小生の嗜好ではないか。苦笑いもしたくなる。しかし、これは正に隠せない。
柿の甘さに郷愁を感じるのは、怖くて苦手だった祖母と一緒に食しているように思えるからであろうか。不思議な心境になるのが不思議である。祖母の発した古諺がいくつも脳裏を駆け巡る。「桃栗三年柿八年」の意味も教えてくれた。柿がそれだけの年数を掛けないと成木にはならないことも覚えている。戴いた柿を仏壇に供えながら先祖に感謝の言葉も添えた。
今年の果物は異常気象で不作だと聞いていた。しかし、今年も立派な次郎柿を届けていただいた。感謝しながら味わいたいモノである。
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