2011/12/28

「四字熟語」の深意

 ~「上意下達」の成立条件~
 新聞のトップ見出しが “東電の初動「誤り」”という朝刊。
東京電力福島第一原子力発電所の「(事故)当日」の事故調査・検証委員会の報告内容が掲載されている箇所は全てを読み込んだ。ふと「上意下達」(記事の中に引用されている)の深意について考え込んでしまった。

 上意下達とは、上位者の命令や指示、言葉などを下位者に伝えて実行させることを意味する。トップダウンもほぼ同様の意味を有している。上意下達は①上位者が発給する文書によって行われる場合と、②上位者の直接的な言葉によって行われる場合、③更に仲介者を媒介して行われる場合がある。(百科事典より)

 この記事(正真正銘の事実と認知すると)から読み取れるのは、海水注入の停止命令が(上位者から)発せられたにも関わらず、現場責任者の自己判断で注入を継続したという事実が判明する。つまり、上位者から(電話での)中止命令があったにも関わらず実行しなかったことになる。その時点から9か月の時間が流れた。そして自然災害に因る致命的な第二次災害が、今となれば本災害になってしまっている。 
 初動操作のミス?操作命令者の判断ミスと言うことなのか。
 新聞記事を読む限り、上意下達に即しなかった現場責任者の処遇はどうなるのか。なぜならば上意下達の意味は「戦略行為」の一つであるので、従わない限り効果や成果は齎さないのではないだろうか。
 現職時代に(このような「国益」に関わることではないが)、国~県~市~学校と上意下達(=文書による「通達」)の指示事項があったにも関わらず、小生はその指示に従わなかった。現職名は校長であった。行政からの注意や厳重指導を受けた。しかしながら、上意下達のレールに乗れない(細やかな)経営哲学が従うことに抵抗したようだった。従う、従わないということだけの問題であって死活問題にまで発展したことではなかったが、「上位者の責務」意識に信頼を寄せることが出来なかったからである。   
 上意下達という言語は組織の運用に関する重要な言葉である。
その深意は、命令や指示を発する上位者の資質に関することであることを意識しなければならないことではないだろうか。つまり、何でもかんでも「上位者」からの指示は次の下位者に伝える無責任さが本来のこの言葉が有する意義を割愛してしまうのではないかと愚直な小生(=下位者)は、今でも案じてしまう。教育界に従事する輩だからこそこんな反面教師的な発想をしてしまうのだろうか。少なくともこの言葉が成立するためには、「信頼される上位者」が育っていなければなるまい。退職者の傲慢な考え方であれば許されたし!

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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