2013/12/03

「組織」と「人材育成」の相関関係を追究してみたくなる!!


 一昨日のマラソンレースはTV画面から目を離すことができなかった。

 それは、一人のランナーの激走ぶりに脳味噌の中にある「人財育成に関する思考回路」が自然再発したからである。

この駆け引きは自作自演なんだろうか?画面に向かって自問して答えを求める『考える』時間となった。今までのマラソンレースではペースメーカーが先導する距離が、今回は短縮されたのだそうだ。世界トップランナー(だった)解説者が選手の精神的な動揺を盛んに指摘していることでわかった。

その変更された予定地点で、一人のランナーが飛び出した。業界の関係者にとっては「無謀な」展開に挑んだことになるようだ。固唾を呑みながら画面に食い入る。経験値を活かした解説者の説明は視聴者が分かるように想定外の走り方であることを説き続ける。解説者の予言が当たり始めて、飛び出したランナーは、また集団の中に吸い取られてしまって「レース展開の駆け引き」の難しさを知った。

こんな2時間少々の時間を釘付けにしたランナーには、「選手として所属する組織」は無いようだ。監督さんや専属コーチ、トレーナーや医師も付いていないランナーとして数年前から注目していた。今回のTV解説者が所属する組織への勧誘をした経緯も新聞情報等で読んだことがある。しかし、「組織人」として活躍することを拒んだそうだ。「自らが課題を見つけ、自ら解決する力」を自身に鍛えこんでいる『生きる力』を持っているランナーなのであろうか?次のようなネット記事を読んで「組織と人財育成の行き詰まり」を感じ入った。 

20キロからレースを動かした川内の積極的な走りを日本陸上連盟幹部が絶賛した。尾縣専務理事は「川内くんの卓越した精神力に感動した。日本のマラソンランナーの範となる」と話せば、宗猛マラソン部長は「彼が本当のマラソンのプロ。実業団の選手はアマチュアです」と、脱帽した。
 陸連は来年4月から16年リオデジャネイロ五輪を見据え、常設のナショナルチームを作り、強化をしていく予定。川内が苦手とする夏のレースへの対策も科学的データを集めて、選手に提供していく予定で、酒井強化副委員長は「川内くんは暑さに弱いと話しているが、内臓は強いし、苦手意識があるだけだと思う。ナショナルチームで、色んな指導者から話を聞くなどすれば、克服できると思う」と、話した。
 

 組織で人材を育成する。

 組織による人材育成とは、分業化して専業性を特長として人材の育成を担うのである。マラソンという「独りで走る」人材にも、専業性に卓越した経験値を持ったコーチや監督が懇切丁寧に指導するのであろう。しかし、今回の「20キロ地点」の変更は、このプロ級の組織人にも経験値が無かったのではないだろうか?

 組織人として鍛錬されていれば「20キロ地点での飛び出し」はコーチの指導を無視した無謀な挑戦になったと言及されても仕方あるまい。しかしこのランナーには、「自ら考え・自ら実行」する英断(結果的には)に挑戦したいとする熱意だけで決断することが出来たようだ。

 「組織で人材育成」も、団体競技種目や個人競技種目などと分別しての育成手法が考えられないだろうか?育成すべき人間を「自らの考えを抑える」状況下に追い込む様な促成栽培には限界があることを熟考すべきである。痛感させられた2時間余りだった。

管理主義による管理体制での人材育成には限界があることを思い知らされた。小生の『人材育成哲学』の確立に拍車が掛かったぞ~!!

 

※事務連絡  ●今日から県外への出講です。暫くの間、またまた当ブログは休刊です。お許しください。  ●お待たせしました!遅れていた11月22日の「学校訪問記」を 新ブログ【寸心紀行】(右欄の該当項目をクリックして)にアップしました。遅くなってしまったことをお詫びいたします。
 
 
 
 
 

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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