2011/09/18

水分の補給と休憩時間

 ~大相撲の「水入り」に思いを馳せつつ・・~
 現状を考えれば誰からも異存はない。
 しかし、観客席の若い保護者にでも違和感は生じていた。周囲のつぶやきで察知できた。小生が目を見張ったのは主役たちに『テント席』が準備されていたことだった。これも、日本列島をひた走りに走っている言語「熱中症」への予防策の一つ、と瞬時に判断した。夕刻のテレビニュースで、「運動会の練習で熱中症で救急車での搬送・・」という情報として仰々しくも報じられる事が多い。敬老席に招待されたお客様方には、競技や演技をする場所を挟んだ対面に異様な数のテント村が特設されていることがどんなふうに目に映ったのだろうか。
 もっとも驚いたのは次のアナウンスだった。
 只今より20分間の休憩時間をとります。児童の皆さんは水分補給をして自分の席で休憩をしてください。
 驚いた、と言うより気が付いたと表現したほうが元同業者であろうか。
 玄関先で孫たちが登校するのを「行ってらっしゃい」と声を掛けるのがお祖父ちゃんの日課である。いつの間にか持ち運ぶ水筒の大きさが4月より一回りおおきくなっていることに気が付いた。それは、練習が佳境に入ったころだったようだ。重くないか、との質問に孫たちは、重いけど熱中症になりたくないので頑張って運んでいる(笑)ような顔つきであった。
 考えられないような出来事と運動会と言う学校行事で遭遇した。
 数年前には「想定外」との日本語が流行した。想定外な事案が、その後は想定外に多くなっているようだ。運動会本番にプログラムに無い「水入り」の時間が設けられているなんてまさに想定外である。
 そんなにまで過保護になったのか?オトナの多くが考えているとすればこれも想定外である。日射の量の問題ではなく、温度の問題である。気温30度は、我々の時代では信じられない暑さであった筈である。それが35度の気温が日本列島の西や南の地方に限らず東北地方にまで分布されるような自然環境になってしまっていることを考えねばなるまい。学校教育の現状対応策として、「過保護」と非難することはできまい。この環境になるまで50年以上は掛かっているというではないか。地球の温暖化が叫ばれその言葉も市民権を得た。温暖化の影響が、ここにきて気温の上昇だけに限らず、台風進路にまで異常なほどの症状が見られるではないか。自然の異常さは子供たちをその危険から守ることは大人の責任である。多くの関係者にとっては不本意であっても・・・。
 「組み立て体操」も今年のプログラムから消えたそうだ。練習の時間に地面との接触も多いからだと聞いた。つまり地面に染みている「放射能」への防疫対策だと知って、ここが茨城県土浦市だと改めて認識した。応援席の近隣からも「何だか、子供たちも可愛そうだな」との声が耳に入った。
 教育的な取り組みと放射能の事故とは無縁にして考えて欲しいが、昨今の現状ではこの決断も止むを得ないことなのだろうと帰路の老夫婦の会話であった。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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