2012/08/11

「日本人文化(魂)」を再認識


 ~アメリカで金婚式を終えている従姉たち~

 10日間のバカンス(笑)から帰国した妻を迎えた。

 開口一番、「姉(従姉)からのお土産が・・・」と呟きながら大きな旅行バッグをひっくり返した。小さなビニール袋に入っていたモノを探し出して、「税関をパス」と笑顔で開いてくれた。中身は??

 読者の皆さんには絶対に想像が付かないだろう。

 小生にも、「これ、何?」と発するほどの品であった。熊本産の高菜(野菜)の漬物である。口にして香りも正に九州の香りである。「アメリカでも売ってるんだ!?」と呟く小生に向かって、従姉の手作りだと説明が追ってきた。

 ロスアンジェルスとサンジェゴに住んでいる二人の(妻の)従姉さん達。

 結婚のために渡米して長姉の方は55年にもなるそうだ。次姉は昨年50年になったらしい。金婚式という日本文化を大事にして生活している様子が「お土産話」の主流だった。共に日系二世の夫との生活であるので日本語に不自由はないらしい。小生は30年前に、海外研修(当時の文部省主催)で渡米した折りに、オプションの時間を利用して二人の家は訪問した。

 一人の家は野菜や果樹が(日本産の種で栽培した)広い庭を狭しとばかりに育っていた。もう一人の家は日本庭園に凝って新潟県小千谷市特産の錦鯉が見事に泳いでいた。庭の中央に築山があり「富士山」を忘れないようにしているとの説明もしてもらった。 「味噌」も「粉」も全て手作りで調理をしているとの妻の話に耳を傾けながら感じ入った。

 祖国や母国という死語に再会した気分だと妻の話が続く。

 金婚式のお祝いに京都の知人のお口添えで安価で「京人形」を購入出来て従姉に送った。現代日本の家屋から消え始めた『床の間』にそれが飾ってあったそうだ。消えゆく「日本文化(魂)」の将来を案じながら、母国への思いが遊離してしまいそうで怖くなったようだ。

 オリンピックで演奏される国歌に対する姿勢も、国際大会に出場する選手としての「母国」愛が(恥じらいでもあるかのように)表現しているのが、時として寂しくなる。小生の年齢の所為だろうか。

 観光地も多く案内をして貰ったようであるが、妻の口から出るのは「ロスで」「サンジェゴで」、従姉たちが継承している日本文化に感激した言葉ばかりだった。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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