2013/01/17

勝利者インタビュー

 ~「組織」による育成法の違い~

 小生が大相撲ファンであることは周知のとおり。

 贔屓の関取が活躍するとファンは興奮する。興奮するのがファン気質の証。連続のインタビュールームで対応する力士に「組織が育成する」現状を垣間見る。「親方に褒められるよう明日も頑張ります、ハイ!」と言い残して退室する。

 小生は大昔(笑)の高校球児。教員になって30年前に指導した部員からプロ野球の選手が誕生して現在も「現役最年長プロ野球選手」として活躍中である。「育成精神の無いところに繁栄は無い」と、「組織の在り方」について考えることが最近は多くなっている。 

 家族という「最小の組織」ですらも繁栄の継続は難しいらしい。小さな会社経営でも先祖代々の血縁だけでは繁栄の保証は無いそうだ。三代続く社主の存在は偉大だと言われる。松下電器(=パナソニック)の創始者の松下幸之助氏も、純血の後継者には危惧を感じられた行を読んだことがある。そこにも血縁が「育成する」難しさを氏が凡人に諭しておられたのだろう。

 野球と相撲。

 チームプレーと個人競技と分類できる。9対9で戦うスポーツと1対1で対決する協議とでは指導者の育成意識に大きな格差があって当然である。しかし、組織の中に宿すべき「育成する精神」は軽視できない。監督と親方。共にリーダーではあるがその資質によっても育成される後継者の成長も違うような気がしてならない。勝負の世界では「弱者」は驕る事は出来ない。しかし、強いだけでは観客は呼べない。ファン気質も国民性があるのだろうが、同一国で比較しても人気の秘密には「分かり切った謎」が判明する。

 組織の活性化を、所属構成員の言動や表情が証明しているという事である。

 小生は小さな世界(=学校)の監督・親方しか務めていないので、小生には大口を敲くほどの実績も無い。しかし、学校と言う組織だけに焦点化して述べても、以下の4拍子が揃っていたことがわかっている。

①「勢いのある教員集団」②「活き活きとした生徒集団」③「感謝の気持ちで学校を支える保護者軍団」④「笑顔の絶えない協力体制で接する地域」そこには「育成精神」を明確に打ち出している校長の存在が確認できる。

 大相撲界ではインタビュールームに登場する力士はあるが、親方は無い。プロ野球界ではインタビューを受ける選手の次は勝利監督である。対照的である。どちらが良いという観点で言及しているのではない。組織の「育成」手法が異なるのは業界の違いであることだけは事実である。チームの監督にもファンが付く。しかし相撲部屋の親方の氏名は殆ど知られていない。これも対照的である。

 日本のプロ野球選手がアメリカの大リーグに流出する。外国人が日本大相撲協会の新弟子検査に押し掛ける。時代がこんなに変遷している。時代は変わっても組織の育成精神は大きくは変わるまい。

 しかし、外国人力士の日本語の上手さには舌を巻いてしまう。育成の土壌には「愛のある言葉」があるような気がしてならない。暴言を吐いて殴っているだけの指導者には育成者の資格は無いのかも知れない(=自己反省)。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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