正月明け辺りから様子がおかしかった。上手く流れたり流なかったりするのが気にはなっていたが、「完全停止」状態に陥るとパニックである。早速、工務店から戴いているメーカーの使用説明書を開いてみる。製品番号と照合しながらトイレを往復する。故障であれば母屋のトイレが使えるので日常的には不便は感じない。しかし、排せつ物が流れないままの状態では平静さを欠いてしまう。
説明書を片手に30分ばかり往復していても埒が明かない。今度は、「ウォッシュレットの故障」と入力してパソコンという文明の利器を頼って検索を始める。目に飛び込んできたのが、「リモコンの電池がキレている場合」の文字だった。電気で全てが動いているという錯覚が往々にしてある。コードを繋いで電力で運転していることだけが脳裏を支配しているのだろうか。全く思考回路に存在しなかったリモコンの「単3電池2本」の威力をイヤとなる程に気づかされた。
慌ててトイレに飛びこんでリモコンを抜き出して持ち出す。買い置きの電池を収納している電池を取り出して交換する。それでも「器械音痴」には自信はない。こんな電池でウォッシュレットと言う文明の利器が簡単に動くわけがない。老脳は始末悪い。つまり思い込みが先行するのである。
電池交換を済ませたリモコンをはめ込んでボタンを押してみる。
全く可動しなかった「立派なウォッシュレット様」から音を立てて気持ち良く水が流れるではないか!心配顔の老妻にも安堵感が戻った。小さな電池2個でこんな大きな動力を稼働させているのか!?老脳には衝撃として十分に文明の利器を意識できた筈である。
しかし、この衝撃の効果は時間と共に消滅する(笑)。つまり、またパニックに遭遇すると文明の利器に振り回されてしまうことになるということである。
そこで、「老脳の二句」をご紹介します。ご笑納ください。
文明の 利器に泣かされ 老いを感じ 今朝の寒さに 立ち往生 龍峰
文明の 利器で助かり 無駄な竿 挿さない知恵を 悟りたり 龍峰
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