2013/10/28

「知の巨人」を引用した「卒業式の式辞」を読んで感動!



平成22年度大阪大学卒業式での学長式辞を拾った。

 卒業式と言えば3月であるので、平成23年3月に行われた卒業式である。「3・11の震災」が起きた直後に行われた卒業式となることを併せて式辞を熟読した。学長としての実績もさることながら、教育者として次代への期待を添える広角な内容に心底から脱帽した。

 感動すると、直ぐに周囲に「お裾分け」したがる性分である。既に数名の後輩諸兄に強制的に(笑)お裾分けをしてしまっていたが、この新聞コラムにある人物を発見して嬉しい衝撃を受けている。

 学長式辞に登場した人物への論及である。

 このコラムに登場した人物の功績が式辞に引用されていたのである。素晴らしい功績を為された錚々たる人物の一覧にお名前を発見した凡人は「棲む世界」の異次元を感じながら、また式辞を読み直してしまった。ご希望の方にはこの資料をお送りしますのでお申し出いただきたい。感動を共有したいのである。

 そこで、その引用人物の功績も確認したい。ここに新聞記事を登載した。ご一読いただきたい。 

「知の巨人」と形容させていただくことにする。大げさだとは思わない。精神科医で神戸大名誉教授の中井久夫さん(79である。統合失調症の治療や研究で名高い。阪神大震災では心のケアに力を尽くし、おととい文化功労者に選ばれた▼臨床を大切にする医師でありつつ際立った文筆家でもある。ギリシヤやフランスの詩を翻訳し、文学賞も受けた。その視野は誠に広大で、戦争と平和についての鋭利な「観察」や、「ひととしての」昭和天皇論といった重厚な論考も多い▼昭和9年生まれの中井さんは恐るべき子どもだったらしい。敗戦後、集めていた切手を売り払いラテン語の独習書を買った。西欧の同世代がライバルだと思っていたという。高校時代には、高名な哲学者の蔵書で英独仏の文学に親しんだ▼そんな中井さんが少年少女に向けた読書案内を書いている。異色の内容である。いわく、教室で輝きすぎるな。一番になんかなるな。児童生徒の間にもやっかみはある。〈あなたは今花咲く必斐はない〉。そして一目置く同級生を宝とせよ、と▼推薦図書の名前を挙げているわけではない。総じて背伸びの勧めといっていい。なかで思春期の男女への最高の贈り物かと思えるのが次の言葉だ。 〈読書は、秘密結社員みたいにこっそりするものだ〉。そうだ、10代の頃はそういう感じで本を読んでいたのだとヒザを打つ▼きょうから読書週間である。知の巨人をめざさなくても、中井さんのようなみずみずしい感覚は学びたい。
                                         20131027 天声人語


※追記 【寸心紀行】=教員と研修シリーズをアップしました。
 



 
 
 
 
 
 

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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