~用務も山場を越えて~
鳥取市の空は「穏やかな陽ざし」と共に歓迎して(?)くれました。
迎えていただいた先生方の口々から「昨日はもの凄い荒天でしたが・・」と、丸で「晴を連れてきてくれた」かのような言葉が続出したのには驚きました。年間を通じて機会多く訪問する都市があります。それは主宰する教育実践『響の会』の開催地がその主たる所です。浜松市・広島市・立川市には定期便の如く同じ時期に、多い会場には10年間も通い続けています。不思議なことに「傘を要した」日は、記憶にないほどに晴天とのお付き合いです。
この鳥取市は、高知市や名古屋市と同様に訪問回数の多い都市の一つですが、前出の都市と違って、殆どの訪問が雨か雪、あるいは強風に見舞われ続けていますので、今回の出発準備の最優先が傘だったのです。
人の営みには幾通りもの「組み合わせ・取り合わせ」があるものでしょう。取り分け天候には「営みの好不調」を左右させる要素があるような気がします。鳥取市への訪問で「絶好調」を思わせるような好天に恵まれたのは、実は初めてでした(笑)。
お天道様に迎えられた今回は、今までに経験の少ない「学校集団による研修会」でした。
1つの中学校とそこに入学する4つの小学校の教職員の研修会だったのです。主催者事務局より開催主旨を載せた出講依頼書を受け取った時点で、受諾の即答をしました。確固たる理由があったからです。長い間の教員生活で「理想としていた」取り組みが示されていたのです。
学校教育関係用語で表現すると「中学校区」と言います。今回の訪問先は1つの学校を会場にして複数の学校が終結する方式での研修会です。中学校区に全部の学校に勤務する教職員が集って、授業参観と講演会とが設定されていました。その講演の講師が小生でした。
1時間半の講演(=一方的な講義形式)は不人気です。
どんな聞き上手でも、90分間を考えただけでもウンザリします。そして、出来れば敬遠したくもなります。脳裏を過ぎるのは「どんな風にして耐えるか!」(笑)という手立てがないからなのです。そんな聴講者の気持ちは十分に理解していても、講師として演壇に立つと「相手の立場」になっての供給が出来ないのですから自己嫌悪にも陥ります。
今回は、小学校の先生達と中学校の先生達が一堂に会することを意識してレジュメの中に、今まで使用したことのない言語を登載しました。それが「住民票的見地から考える授業の効能」という観点から考えました。『住民票』をキーワードにしてみました。反応は?具体的な評価は講師にはわかりません。しかし、教育講演会にレギュラーとして登場する「教育用語」ではない主役が登場したことだけでも、ちょっとした睡魔除けにはなったかも知れません。もう一つは、見えない準備として、最近出版された「おしんの遺言」(橋田壽賀子・著)からヒントを得て自作した資料です。それを使って、聴講者である先生方と「漢字遊び」を展開してみました。
いかに工夫しても、所詮、小生のような3~4流の講師では如何ともし難いことは十分に承知しています。退職してのこの稼業に入り、少し慣れては来ましたが、「一発勝負」的なこの営業はやはり難しいモノです。しかし、今回のような真剣な眼差しの聴講者と時間を共有できたことは至福の時間となりました。
やはり、荒天より好天が(精神構造上からも)望ましいのでしょうかね(笑)。聴講者からの感想を聞いてみたいのも好天の所為でしょうか!聞いてしまったら荒天な気分になっちゃいますかね!!
そうこうしている内に、講演稼業も山場を越えました。あと3回を残して2010年も「仕事納め」になります。ドタキャンを一回もせずに終える事の出来る老体に充足感を噛み締めている朝です。
歩禅とは、『安岡正篤 人生を拓く』(神渡良平 著 講談社+α新書)で拾った言霊です。千葉県で早朝ウォーキングを長年実践しておられる方の言葉として紹介されていました。沈思黙考の「坐禅」に呼応するものだそうです。ふと読み留まったのは我が愚脳にも大きな電撃が走ったからなのです。歩きながら自然界に身を委ね、自然界に畏敬の念を抱き、そして自然界に語りかけることのできる自分を見いだすこと。これを「歩禅」と利己的に理解しました。坐禅が苦手な私には「静かに座して己と語る」ことに替わるべく言葉として受容できる気になったのです。だから私には単なる言葉としてではなく、『言霊』(ことだま)となったのです。 平成16(2004)年10月20日 還暦に記す ~以降「散歩日記」を歩禅記として継続発信中~
自己紹介
- 角田明
- 1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。
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