2010/12/31

老妻からの暮れの『贈り物』

 ~しみじみと実感~
 昨日の午後。老夫婦は久しぶりに揃って歩禅に出向きました。行き先は妻が購入したいという本を手に入れるための本屋さんです。
 お目当ての本は無かったようですが、妻が手にしていたのは1冊の単行本でした。「これ、読んでみましょうよ」と差し出しました。それは小生の好きな作家のお一人である曽野綾子氏の著書でした。

 よく「日本は経済大国なのに、どうして豊かさを感じられないのだろうか」と言われますが、答えは簡単です。貧しさを知らないから豊かさがわからないのです。今日も明日も食べ物があって当然。水道の栓をひねれば、水が飲める。飲める水を使ってお風呂に入り、トイレを流している。昔は日本人も水を汲みに行ったりまきを取りに行ったりしましたが、今ではそういう生活が当たり前になった。もともと人間が生きるということはどういうことかを全然知らない。おめでたい老人が増えたのです。(「老いの才覚」本文より抜粋)

 帰宅直後から読み始めました。
 階下から「ご飯ができましたよ」と老妻から声が掛かるまで没頭して活字を追ってしまっていました。ほぼ読破した状況です。忙中閑あり?晦日の夕暮れに「おめでたい老人」がここにも生存していることを自覚してしまいました。しみじみと実感。
 妻も自分で読みたいと思って選んだのだろう、とは分かり切っていましたが、小生は、この素直な実感を抱きながら、妻から夫への暮れの『贈り物』だと考えてしまいました。決して厭味での贈り物ではないことぐらいは百も承知です。何とも言えない「綾子節」の文章に切り刻まれた気分になってしまいました。しかし、なぜか嬉しい「切られ方」なのですから、著者の運筆力の迫力なのでしょう。
 小生は、日課になっているNHKラジオ深夜便の新年号を求めました。そして、もう1冊。それは、先般襲来の豆台風の一人が「詩」を書きたいと言っていたので、大好きな谷川俊太郎氏の作品を購入して帰ってきました。「お年玉」として、郵送しようと考えているお祖父ちゃんですが、勿論、お祖母ちゃんも同意してくれました(笑)。
 師走も、今日は大晦日。
 故郷の九州では積雪だとの情報をラジオが教えてくれるまだ薄暗い朝です。読書を終えた直後の満腹感は、やっぱり病みつきになります。一種の病気?(=自認)
 明日は2011年元旦。小生のHPでも1月号の「イチオシBOOKS」が掲載されます。コメントの形式を少し変えました。本の選択は、相も変わらず「独断と偏見・偏向」によるイチオシBOOKSです。ご理解の上ご参照願います。
 今年もお世話になりました。新年もHP同様にこのブログもご愛読くださいますようよろしくお願いいたします。皆様にとっても新年が良い年でありますよう心よりお祈り申し上げます。
 

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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