2012/03/07

歩禅記(56)

~雲雀のさえずりに足取りも軽く~
 独り歩禅は午後2時45分の出発。
 自宅から5分も歩くと大好きな田園地帯に入る。今日は異常な程の温かさ。汗ばむ陽気と言っても可笑しくない。こんな陽気になると全身が何かに怯えた日々があったことを思い出してしまう。マスクの着用に迫られるだけでなく目の周囲の痒さと鼻水の処理にはホントに悩まされた。テレビでまた恐怖心を煽られるばかりの画面を見た瞬間から(不思議な程に)症状が顕著になるのだから「病は気から」の古諺が恐ろしい程に理解できた(笑)。その症状に対応した常備薬を捨ててから11年が過ぎた。症状が全く無い訳ではないが、殆ど意識しないほどにまでなっている。自身の判決では「無罪放免」である。小生を知っている昔の仲間であれば、「どうしたの?特効薬でも見つかったの?」と質問をまくし立てることだろうか。
 全くの無防備(花粉症対策)で歩禅に勇んで出発すると、大好きな雲雀のさえずりに迎えられた。空高くから聞こえる『ひばりの歌声』は、やっぱり良いモンだ。田圃道に入ると、保護色の雲雀たちが乾いた田んぼの中で何かを必死に啄んでいるのが確認できるのだから「雲雀・痛」であることだろう。雲雀たちの活発な動きを見届けると「確かに春が・・・」と独り言が口について出てしまった。
 歩禅は「歩きながら自らと語り合う」のが、主たる我が目的であるが、今日のような陽気には乾いた畦道にちょっと腰を下ろして雲雀たちと話したくもなる。水路には未だ水もない。その淵に腰かけてゆっくりしていると遠くを何組もの人の群れが「歩いている」姿が目に入った。長閑である。数分間のとてもリッチな気分に浸ったら、腰を上げて再び歩禅に戻る。
 田んぼの縁に、まだまだ「蕾」の梅の花(写真)にも心を奪われた。愛でながら「早く咲いてくれよ」と声を掛けて帰宅した。予定では4時だったが15分遅れの帰着となった。座り込んで「春を満喫した」時間だけの延着であった。僅か5000歩ばかりの歩数ではあったが、久しぶりの歩禅の空気は美味しかった。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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