2012/12/10

時流の「通信販売」

 ~「求める製品」を探して店内を歩き回って~

 足が棒になる。

 そんな日本語を思い出して苦笑したのは帰宅してからの事である。時代の流れが急速に変化している、ことぐらいは十分意識している筈であった。しかし、現実として認知する事件に遭遇しないと分からないものである。

 「箪笥を動かして位置を換えたい」と、老妻が夏の終わり頃に言いだした。多忙な日程に振り回されている小生は対応に遅れてしまった。そして昨日の事。市内にある大きなホームセンターに行きたいと言うので5歳の孫も連れて出かけた。広い店内は行く度に驚くのだが、「求めたい製品」を探し出すのが大変である。先ず、店員さんを探す。そして、求めている製品について説明をする。店員さんは仕分けしてある「通路番号」で応えてくれる。横軸と縦軸の交差する場所にその類の製品が置いてある。その手順には老夫婦も馴れてはきているが、昨日は店員さんの説明も覚束なかった。そして、当店には「在庫が無い」という結論に至った。

 孫は広い店内を満喫して走り回っていた。「おばあちゃんの探している品物が無いんだって」と、孫を説得するおじいちゃんは、既に「足が棒」の状態だった。未練が残る孫を連れて帰宅した。

 やおら・・・・、おじいさんはパソコンに向かった。

 娘たちが事ある毎に「ネットで見てみれば?」の答えぶりを思い出したからである。老脳にはパソコンに打ち込む時点で「製品の名称も不明」がバリアになってしまう。当然ながら会社名もわからないのでパソコンの前で立ち往生するのが、これまでの現状である。利器が利器にならないまま生きて来た。

 そこで、八方破れ(笑)の心情で「箪笥の移動」と打ち込んでみた。

 驚き!驚き!驚き!呼応する回答商品が山ほどの数で、しかも実物写真付きで画面上に示されているではないか。「お~い、ちょっと来てくれ!」とおじいさんはおばあさんを呼んだ。画面を覗きこんだおばあさんは、「これ、これ、これですよ」と興奮状態である。

 そこで、今度は『かごに入れる』という作業である。「会員になりますか?」の文字に立ち往生をしつつ、無事に「注文が完了しました」の文字面に到達した。数日後には配達されるようである。「足を棒」にした大型ホームセンターの足労は何だったんだよ~!叫びたい気持ちを抑えられたのは「利便性」を実感したからである。

 読者諸兄はこのブログを読んで失笑していることだろう?

歩かなくても求めるモノが運ばれてくる時代に生きる。更に利便性の追究は進む事だろう。良いようで、良くないと考えてしまう「昭和時代の思考回路」で迷子になりそうだ(笑)。

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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