足が棒になる。
そんな日本語を思い出して苦笑したのは帰宅してからの事である。時代の流れが急速に変化している、ことぐらいは十分意識している筈であった。しかし、現実として認知する事件に遭遇しないと分からないものである。
「箪笥を動かして位置を換えたい」と、老妻が夏の終わり頃に言いだした。多忙な日程に振り回されている小生は対応に遅れてしまった。そして昨日の事。市内にある大きなホームセンターに行きたいと言うので5歳の孫も連れて出かけた。広い店内は行く度に驚くのだが、「求めたい製品」を探し出すのが大変である。先ず、店員さんを探す。そして、求めている製品について説明をする。店員さんは仕分けしてある「通路番号」で応えてくれる。横軸と縦軸の交差する場所にその類の製品が置いてある。その手順には老夫婦も馴れてはきているが、昨日は店員さんの説明も覚束なかった。そして、当店には「在庫が無い」という結論に至った。
孫は広い店内を満喫して走り回っていた。「おばあちゃんの探している品物が無いんだって」と、孫を説得するおじいちゃんは、既に「足が棒」の状態だった。未練が残る孫を連れて帰宅した。
やおら・・・・、おじいさんはパソコンに向かった。
娘たちが事ある毎に「ネットで見てみれば?」の答えぶりを思い出したからである。老脳にはパソコンに打ち込む時点で「製品の名称も不明」がバリアになってしまう。当然ながら会社名もわからないのでパソコンの前で立ち往生するのが、これまでの現状である。利器が利器にならないまま生きて来た。
そこで、八方破れ(笑)の心情で「箪笥の移動」と打ち込んでみた。
驚き!驚き!驚き!呼応する回答商品が山ほどの数で、しかも実物写真付きで画面上に示されているではないか。「お~い、ちょっと来てくれ!」とおじいさんはおばあさんを呼んだ。画面を覗きこんだおばあさんは、「これ、これ、これですよ」と興奮状態である。
そこで、今度は『かごに入れる』という作業である。「会員になりますか?」の文字に立ち往生をしつつ、無事に「注文が完了しました」の文字面に到達した。数日後には配達されるようである。「足を棒」にした大型ホームセンターの足労は何だったんだよ~!叫びたい気持ちを抑えられたのは「利便性」を実感したからである。
読者諸兄はこのブログを読んで失笑していることだろう?
歩かなくても求めるモノが運ばれてくる時代に生きる。更に利便性の追究は進む事だろう。良いようで、良くないと考えてしまう「昭和時代の思考回路」で迷子になりそうだ(笑)。
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