2013/03/28

着眼点と着想力

 ~キラキラ輝く従業員を育てる会社~

 同居する長男が出張から帰った翌朝、『離れ』にやって来た。「おやじ、読んでみて!」と1冊の本を置いて出勤して行った。時々推薦書を届けてくれる。時として面白い書物と出会うので楽しみにもしている。

 読み終えた。そして、「逆転の発想」に近い、経営力を高める着眼点とそれを活かすべき「着想力」の偉大さを痛感した。敢えて著書の紹介はしないが、確かな「生き方の指南書」であると実感した。それが著者の「あとがき」であった。実名も入ったままで原文をそのまま添付して「着想力の重要性」をご紹介したい。

 時は春。経営年度も新たになる春である。「経営する」視点として、この部分だけでもご参考にしていただけると確信している。

 

 お わ り に   リスペクトとプライド

 テッセイという会社は「普通の会社」です。けっして「特別な会社」ではありません。 でも、この本を読んでいただいた方はおわかりの通り、ただの「普通の会社」でもありません。テッセイは「キラキラ輝く普通の会社」です。

 ここに、テッセイが注目を集める大きな理由があると私は思っています。

 やっている仕事の中心は清掃業務。けっして憧れの仕事ではありません。

 働いている人たちも、バリバリの高学歴エリート社員はほとんどいません。複雑な人生を背負い、ようやくテッセイに辿り着いた人も数多くいます。

 JR東日本のグループ会社という安定した会社ではあるものの、いわば「下請け」の仕事です。そうした会社では、社員たちは従属的な関係のなかで与えられた仕事だけを、淡々とこなすだけになりがちです。通常であれば、「きらきら輝く」とはほど遠い要素ばかりが目につくところですが、そうした立場にある会社がこれほど活性化し、イキイキしているところに、みんなの大きな関心が集まるのでしょう。

 「普通の会社」でもやり方次第で、こんなに輝くことができる。テッセイはそのお手本を示していると言えます。

 それを実現するために、テッセイではさまざまな仕掛けを講じてきました。試行錯誤しながら、一歩一歩手探りで歩んできました。そこには、他の会社にとってもヒントとなるような知恵やアイデアが数多くあります。

 しかし、表面的な施策や仕掛けだけを真似ても、テッセイのように「キラキラ輝く」ことはできないと、私は思っています。

 テッセイという会社の輝きを根っこで支えているのは、「リスペクト」と[プライド]

です。

 テッセイでは、矢部さんや柿崎さんをはじめとする経営陣、管理職たちの、現場をリスペクトする心、気持ちが、現場に伝わり、浸透しています。「現場こそが主役であり、価値を生み出す源泉だ」と信じ、尊重する姿勢がなければ、現場の輝きなど生まれようもありません。

 親会社であるJR東日本も、鉄道事業を現場で支えてくれているテッセイのようなグループ会社を、とても大切にしています。現場に対するリスペクトは、輝く現場を生み出す起点なのです。

 リスペクトを感じた現場は、実行主体としてのプライドをもち、意欲的に仕事に取り組み始めます。よりよくするための知恵やアイデアも、プライドから生まれてきます。

さらに、テッセイの場合、現場の頑張りをお客さまたちがとても高く評価しています。お客さまのリスペクトが、テッセイの現場の意欲をさらに掻き立てています。

 強い現場、輝く現場に共通するのは、自主性、自発性、自律性です。これらを生み出し、定着させるために不可欠な要素が、リスペクトとプライドなのです。この二つがお互いに影響を及ぼし合い、好循環を生み出したとき、「普通の会社」は「キラキラ輝く普通の会社」へと変身するのです。

 この1年間、この本の取材や学生たちの見学に同行して、何度もテッセイを訪問させてもらいました。その数は10回近くになります。

 毎日の多忙な業務に追われるなか、度重なる取材を快く受けていただいた矢部輝夫専務、柿崎幸人取締役、そして心温まるエピソードを披露していただいた社員の皆様に、心からお礼申し上げます。また、テッセイをご紹介いただいたJR東日本・石司次男副社長にも感謝いたします。

 『未来のスケッチ』に続き、今回の企画を自らご担当いただき、とても素敵な本に仕立てていただいたあさ出版の佐藤和夫社長にはお礼の言葉もありません。また、取材・執筆に全面的にご協力いただいた森綾さん、素敵なイラストで泥臭い内容の本を「キラキラ輝く」本に変えていただいた須山奈津希さん、カバーをデザインしてくださった八木美枝さん、そして秘書の山下裕子さんにも、心より感謝申し上げます。

 テッセイのように「キラキラ輝く普通の会社」が、もっともっとたくさん誕生することが、日本を元気にすることだと信じています。  遠藤 功

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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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