
年間に数多くの講演を消化する稼業に馴染みつつある老後の人生である。
定年退職したら・・・と、定年制度下で仕事をしていれば、業務に閉塞感や行き詰まりを覚えると誰でもが描くストレス解消のためのささやかな空想でもある。早く退職して自由な時間になりたいモノだ、と溜息をついたことが今となれば懐かしい。いざ、退職してみると「異次元の世界」で、正しく「個の世界」いや「孤(独)の世界」になってしまう。誰一人として同じコンベアーに乗っていないからである。相談しようも「同行」者がいないのである。後輩諸兄よ、(想定できないだろうが)自らの「将来設計」はじっくり立てておくべきであることをここに忠告しておこう(そんな仰々しいことでもないか!)。
さて、小生の老後生活の今。
講演稼業に身を落として(笑)いながら、偉そうに人生を語る自分に時として疑ってしまう。まして、「子育て」に関わって話題提供をするような講演では最たる猜疑心が湧き上がってくる。県外の全く知らない人たちが聴講者であることを「逃げ道」にして真髄に迫るのであるから、その無責任さは明白である。
明日は千葉県八街市での講演である。
「地域と学校の協働で子ども達を育てよう」という演題を戴いている。小学校の体育館を会場にして小学校区社会福祉協議会主催の「地域福祉フォーラム」に出講することになっている。
物事に殆ど「気後れする」性格ではない小生である。このことは、知る人ぞ知る事実。この性分は子どもの頃からである。治る余地は全くない。付ける薬も飲む薬もない。そんな小生が、講演当日一日前から「人知れず。。(笑)」躊躇しているのであるから可笑しい。それもその筈・・・。講演を依頼されたご当地は、長女の嫁ぎ先(婿の実家)がある学区なのである。長女を嫁がせて10年以上経っている。地域に馴染んできたことは長女の言動で感知している。裏を返せば周囲の地域住民の一員として生活が根付いていると言うことである。言及すれば、長女自身が二人の子供達の「子育て」を地域の中で行っていることである。更に深く追究すれば、我々の「子育て」の延長線にいる長女の生活ぶりは、嫁ぎ先親類縁者には当然として、既に地域には評価という認知活動が日常的に展開されているという事ではないか。考えてみただけでもゾッとする(笑)。
偉そうな事が言えないのは納得済みである。それ以上に、この種の講演会で引用する「育てように子は育つ」という決め手の刃が、明日はこちらに向かって飛んでくるということになる。今更の反省では明日は乗り切れない。そんな禊ぎを明日は受けることになる。心清めて登壇して参ります。
追記:掲載した新聞記事は「子育ての基本姿勢」として重要な資料です。敬愛する 埼玉県三郷市で工務店を経営なさっている 白川好光氏が最近執筆された新聞記事です。じっくりお読み下さい。