~ボトムアップ・トップダウン~
この二つの表現は『経営理念』として良く目にしたり耳にしたりする表現でしょう?
実は小生の現役時代。「角田校長先生は、トップダウン方式ですよね」と、殆どの同業者に決めつけられました(笑)。「そんな凄腕でもないのに・・」、と自分を知る自分だけが、丸で窮地に追い込まれたかのような思いに駆られたものです。しかし、その裏で(表かな?)更に抵抗したのです。「この二つの理念は、使い分けるところに意義がある」、って!!
読者の皆さんにその現実例をお示ししましょう。
昨日訪れた小学校は、「ボトムアップ」理念の具体化が現実となりました。 一人の教師が11月のある日、愛知県のある研修会場で講師である小生と出遭いました。(いいえ、出会わされました)。任務としての出席を余儀なくされての参加ですから、仕方ありません。聞くとは無しに聴いていたその教師は講師の言葉に脳天を蹴飛ばされたそうです。今まで悶々として前進しない任務への苛立ちが、雨上がりの晴れ間のような明るさに変わったと語りました。「これだ!」「この人だ!!」との閃きもそのままに日を過ごしながら、会場で手にしたレジュメの用紙の中から「講師紹介」のコーナーから講師のHPの存在を知りました。そして、何気なく見つけた「スケジュール」のページ。確かに、出席した会場名もカレンダーにありました。ふと、講師が主宰するセミナーがあることに目が行きました。しかも、任務の最中にある課題についての実践発表もあるではないか。心逸る気持ちで申し込みもせず会場を訪れました。会場は県外にあります。県外からの参加者に主催者もうろたえました。その会場に小生が入室して、「先生は、・・・・・でお会いした・・・」と言葉を交わすことが出来ました。飛び込みの参加の理由は「参加者自己紹介」の時間に判明しました。講師であった小生には青天の霹靂。しかし、講師冥利に尽きる参加でした。意気に感じた能天気爺さん(小生)は、「先生の学校で英語の授業をやりましょうか」と話を切り出しました。
その教師が学校でどんな位置にあるか知る由もありません。
しかし、もし、この申し出が実現できるようであれば「学校長の経営手腕」が素晴らしい。これが、「人育て」の小生の決まり切った『仮説』なのです。メールの送受信を重ねながらも、小生は期待半分ハズレ半分で「サイコロの目の展開」を待っていました。日に日に現実化しているメールの内容に、お会いしたことのない「経営者」の手腕を想像していました。
そして昨日、学校訪問が現実となりました。
学校長の「経営手腕」を垣間見ました。
講師の話に耳を傾け、そして講師が主宰するセミナーにまで飛び入り参加した部下である教師を見事に「大舞台」の主役に祭りあげられました。午後1時過ぎから4時半までの長時間をその教師の独り舞台として立派に任を果たさせておられました。
前段は、教師の自発的な言動を見守り、認めながら業務に勢いを付けさせることにあります。これこそが「ボトムアップ」理念なのです。そして、後段の、「一つの学校行事」として位置づける決断を下すことが「トップダウン」であると確信したのです。つまり、使い分けをして一つの行事(事業)を創出することがリーダーとして重要な才能だろうと考えています。
今日は、その教師は講師が指導している小学校の現場見学をするために茅ヶ崎市まで小生について来ました。その派遣も「校長の裁量」での出張命令だと知りました。
用務を終えて帰路に着く教師をJR茅ヶ崎駅で見送りました。この教師の学校がどんな展開をしていくのか大変興味があります。無理をせず、「あせらず・あわてず・あきらめず」に学校経営が展開していくだろうと期待しているところです。二日間の「講師としてのアフターサービス事業」が充実感の付録と共に無事終了です。
歩禅とは、『安岡正篤 人生を拓く』(神渡良平 著 講談社+α新書)で拾った言霊です。千葉県で早朝ウォーキングを長年実践しておられる方の言葉として紹介されていました。沈思黙考の「坐禅」に呼応するものだそうです。ふと読み留まったのは我が愚脳にも大きな電撃が走ったからなのです。歩きながら自然界に身を委ね、自然界に畏敬の念を抱き、そして自然界に語りかけることのできる自分を見いだすこと。これを「歩禅」と利己的に理解しました。坐禅が苦手な私には「静かに座して己と語る」ことに替わるべく言葉として受容できる気になったのです。だから私には単なる言葉としてではなく、『言霊』(ことだま)となったのです。 平成16(2004)年10月20日 還暦に記す ~以降「散歩日記」を歩禅記として継続発信中~
自己紹介
- 角田明
- 1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。
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