冷たい雨が降る正午前の常磐線に乗って水戸へ向かった。
自宅から駅までは10分間も掛からないが傘は必要だった。一旦開いた傘は車中では厄介者になる。電車が目の前に泊まってドアが開く直前に閉じた傘を前後に大きく降っておくと車中で折りたたむのが楽になる。折りたたんでリュックの脇袋に差し込んで座り直す。いつもより乗客が多いかな?服装に一定の共通項があるようだった。瞬間、「そうだ、今日は土浦マラソンの日だ」と記憶の閃光が走った。お疲れの様子も共通項の一つであったが服装が何よりの決め手であった。雨中を走られた後の疲労感は?簡単に想像を巡らしながらリュックから単行本を出した。
出たばかりの隣駅では特急電車の通過待ちで6分間も止まってくれた(笑)。
取り出した本は『 「知」の挑戦 本と新聞の大学【Ⅱ】 』(集英社新書)である。既に【Ⅰ】は読み終えていたので、惰性力の読書となった。編集が「講義録」なので8人の講師が2冊に亘って重複しないので内容はどの章も新鮮そのものであった。
「車中での読書」は小生の趣味の部分に登録しても良い。
この趣味に彩りを付けてくれるのは車窓の景色である。常磐線の車窓は未だ珍しいので、読書より車窓の風景が目の保養にもなる。今の時期は、取り分け、新緑が眩いほどに目に飛び込んできて、活字を暫し忘れる程である。昨日の車窓は、その新緑が雨に洗われて、雨が止んだ直後の「葉の滴」がキラキラ輝くところが、癒しを超えて悩殺される程の美景となっていた。
また、本に戻る。
姜尚中氏と一色清氏がモデレーターとしてそれぞれ4名の講師が言及する「知」の挑戦ぶりが実に面白い。一流らしい専門分野での論述には少々付いていけない表現は多くあった。新聞・政治学・経済・中国・科学とオールラウンドを読み切るのは厳しいモノがあった。中でも、モデレーター同士の「日本のこれからを考える」という主題による紙上対談録には釘付けになった単行本でもあった。
往復90分間のミニミニミニ・トリップは、新緑で目と心を潤しながら心と脳には新鮮な刺激を受け止めることの出来た電車の旅であった。
帰路の電車のテーブルには缶チューハイが1缶置いたままで、到着直前に慌てて飲み干した程の充実感が嬉しかった。
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