2013/07/23

つうしんぼ 人生を変えるモンじゃ なか!

 =通知表で人生が変わるものではありません。=故郷・熊本の地方新聞の『肥後狂句(ひごきょうく)』という欄で50年以上も前に拾った当時の中学生の川柳です。
 

 元・教員としては「通知表=つうしんぼ等」の記載責任者でした。中学校の教員が長かったので高校進学者のための資料作りには苦労しました。当時は相対評価(評価ランクに対しての決められた人数配分が決定される)でしたので、得点のホンの僅かな差異で、評点(=通知表の段階評価)が変わる時もあり、心痛の原因にもなり苦い思い出ばかりが浮かんできます。

 たまたま、我が家の孫たちも「お祖父ちゃん、これ・・・!」と発して、通知表(「あゆみ」と称していたかは無意識だったが)を置いて母屋に帰って行ったばかりだったので、この新聞記事を読んで苦笑してしまったわけです。

 学校に在職した時代にも、我が子の通知表に一喜一憂した記憶はありません。その現象は「親の感傷」なのでしょうか。子どもの「学校の成績」に人生を賭ける如き親の存在があれば一喜一憂は避けられないでしょうね。子ども心に自分の人生観にまで及ぶような家庭もあるとすれば通知表の存在感も考える必要があるでしょう。考えただけでも居たたまれなくなってしまいます。

 我が子の「通知表」も全て検閲はしましたが、担任の先生が「我が子をどう視て貰っているのか」、の観点では関心がありました。親の目に映る我が子が集団の中でどのような振る舞いをしているのかを注目したモノです。「良く視ているなぁ~」と同業者に刺激されたことがあったことも事実です。

 学校教育機関を卒業して社会人になると「成績通知表」は存在しません。それ以上に厳しい評価や評定に苛まれます。「学校の先生」が点けた点数が「人生を左右する」かのごとき切迫感を煽るような子育てだけは避けて欲しいと願っています。学習成績だけに着眼して、「条件付き」叱咤激励は危険です。「~になったら~を買ってあげるね」「~点につき〇〇円」との条件は頷けません。評価には「比較する」という観念作業が伴います。新聞記事のコラムニストの表現にもあります。

 子育て中の親御さんにはじっくり読んでいただきたい。評価の最終目標は「期待する」ことにあることを子どもたちにも話して戴きたい。親御さんに「期待する」次第です。
 

通信簿という名称は古び、通知表も時代遅れらしい。いまは 「あゆみ」と呼ぶ小学校が多いそうだ。夏休み最初の日曜、安倍政権の7ヵ月の歩みに、有権者は二重丸をつけた。「1強体制」という声を聞きながら、自民党が参院の第1党に返り咲いた▼安全運転の成果でもあろう。憲法改変も原発も、負担増もTPPも、危ないところはボカシをかけ、道の真ん中を走ってきた。歴史認識で地金も見えかけたが、ハンドルを切り直した。すべて参院選のため、との見方がもっはらだった▼選挙が済めば、大事なのは行く先になる。道路の右側で手招きをする支持者は少なくない。衆参の 「ねじれ」が消え、ブレー牛なしも心配される。まずは8月15日、靖国神社を巡る対応あたりが一つの目安になりそうだ▼6年前、7月30日の本紙を見ると、1面に「自民 歴史的大敗」とある。安倍首相は唇をかみ、政権転落の序曲となった。陰画と陽画を見るような前回との差は、民主党のふがいなさ抜きに語れない▼あれほどの支持を集めながら、期待を裏切った。昨年末の衆院選、6月の東京都議選、そして今回と、続けて落第の×をもらった。これでは安倍さんの通信簿が相対的に甘くなるのは、いかんともしがたい▼〈落第や吹かせておけよハーモニカ〉小沢昭一。だが世間の目はこの一句ほど優しくはない。捲土重来を期す意気が民主党に残つていようか。新味はなくても経験は生きる。現首相を見ても、それが2度目の強みだと思うが。            7月22日 【天声人語】






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自己紹介

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1944年熊本県八代市生まれ。1968年から神奈川県内の高校、中学校の英語教員として勤務。1988年より神奈川県茅ヶ崎市で指導主事、教育研究所長、中学校教頭、指導課長、小学校校長、指導担当参事を務める。1996年8月ちがさき教育実践ゼミナール『響の会』(現・教育実践『響の会』))を開設し、教員の自主研修会として活動を主宰。 2001年に新設開校の茅ヶ崎市立緑が浜小学校・初代校長着任。 2004年3月退職後は「教育実践・響の会」会長として全国で講演活動中。『響の会』は茅ヶ崎市・浜松市・広島市・東京都立川市に開設。2006年9月より2011年8月まで、日本公文教育研究会子育て支援センター顧問として全国で指導助言に務める。著書に 『あせらない あわてない あきらめない』(教育出版)、『人は人によりて人になる』(MOKU出版)、『小学校英語活動教本JUNIOR COLUMBUS』(光村図書出版)がある。その他月刊誌等の執筆原稿や共同執筆書も多数あり。近刊は、2012年10月発行予定(『校長先生が困ったとき開く本』教育開発研究所)。

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